きりん

影なき殺人のきりんのレビュー・感想・評価

影なき殺人(1947年製作の映画)
3.9
事件は突然起こる。街の人々に愛されているランバート神父が通りで銃殺される。目撃者は7人。証言や持っていたピストルからウォルドロン(アーサー・ケネディ)が容疑者として捕まるも一切を否定する。『波止場』『エデンの東』で知られるエリア・カザン監督による法廷劇⚖️

目撃情報にあった黒いコートに白い帽子、ピストル、犯人の足取り、そして目撃者7人全員がウォルドロンが犯人だという証言から有罪(正確には予備審問での起訴)がくだされようとするなか、地方検事のハーヴェイ(ダナ・アンドリュース)だけが無実を主張する展開に。特筆すべきは弁護士ではなく本来事件を立証する側の検事が味方という点。

『十二人の怒れる男』を思い出した。本作は陪審員ではなく検事が疑問を抱き奮闘する。元ネタではないかと思われる。知らんけど🙄

警察のずさんな捜査と不眠で行われる過酷な尋問が恐ろしい。昔は平気でこんなこと行われていたんだろうなと想像すると胸糞悪くなる。
また政治的背景により私利私欲にかられたやつらが有罪に持ち込もうとする姿も胸糞だ。この辺の描写はちょっとわちゃわちゃしてて難しくあったが💦

〝ひとりの命は社会よりも重い〟

正義を証明するため一人で戦うハーヴェイ検事。目撃証言の不確かさ、弾道実験、自白の経緯と真偽など次々と反論することで現状を一変させていく様は面白い!やはり法廷物にハズレ無し✨

最近観たフリッツ・ラングの『激怒』と同じく冤罪を扱った作品として秀逸!

本作は事実に基づいた作品で真実を伝えるために全てのシーンを実際の現場で撮影され、出演者の多くが実在の人物だとか。凄!!


⚠️以下ネタバレ。結末に触れてます⚠️















未解決事件であるため、殺された動機や真犯人に迫るものがない(一応暗示したものはある)のがちょっと残念ではあるが傑作であることに間違いはない。まさにタイトル通り影なき殺人である。
きりん

きりん