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影なき殺人のRのレビュー・感想・評価

影なき殺人(1947年製作の映画)
4.0
最近昔の映画を見るのにハマってて今回選んだのがこちら。エリアカザン監督作品ほとんど見たことがないというのと、タイトルが面白そうというのでこれにしてみた! 冒頭、これが実話を基にした映画であることと、出てくる人物もロケもできるだけ実物のものを使ってると字幕で紹介される。どこにでもある町のいつもと変わらぬ平凡なある日、町の人々に愛され信頼されるランバート神父が、背後から後頭部を撃ち抜かれる。走り去る犯人。目撃者7人。うち幾人かは犯人を追いかけたが捕まえることができず。証言によると、犯人は黒いトレンチコートを着て、明るい色のハットをかぶっていたとのこと。目撃者が多いので、すぐに解決するかと思いきや、遅々として進展のない警察の捜査。マスコミがそれを批判的に書き立て、また、政治家や大規模なテーマパークを作ろうと投資してる人らが、こんな恐ろしい事件はやく解決してくれないと困るとプレッシャーをかけてくる。そんな中、警察は目撃者の証言に合う背格好の人物を片っ端から連行し、その中からひとり、全目撃者がコイツだ!と見定めた男が逮捕され、尋問を受けるのだが……という流れ。前半は、ドキュメンタリー風の演出のためか、映像にドラマ性や面白さがなく、やや平板に見える。あとちょいちょい単調にナレーションで進んでいくので、んーちょっと退屈やなーと思ってたんやけど、絡み合うみんなの思惑が見えてきたり、容疑者が絞られたりしていく過程で、見ているこちらも徐々にヒートアップ。実際の事件の実在の人物を出演させてると冒頭で宣言した割には、豪華な出演者の顔ぶれが嬉しい。主人公の検事ハーヴェイを演じるダナアンドリュースは認識なかったけど、いかにも主役はれそうな濃口のイケメンで、早期解決と正義の狭間で揺れる姿をスリリングに演じてるし、この人物のまさかのビックリ仰天な展開は意外性も高く、非常に興味深かった。警察署長を演じるリーJコッブは12人の怒れる男で最も印象的な役を演じてた人で、画面に現れたときはおお!この人か!と嬉しかった。この人も同じ葛藤を抱えるひとりの人間として検事と対照的な行動をとるのが面白い。あと、警部補を演じてるカールマルデンという人も記憶に残りやすい顔(特に鼻)。他の皆さんも含め、演技は本作の見どころのひとつだと思われます。そして、舞台が法廷内に移ってからの火花散る言論戦は、タイトでリズミカルな演出がクール、バッサバッサぶった斬っていくのが気持ちいいしカッコよかった! やっぱり人間は後ろ暗い気持ちを抱えて保身のためにずる賢く生きるんじゃなくて、正々堂々と正義を掲げ、情熱を燃やしてる方がぜんぜんイイ! すごく小ぢんまりした映画なので、また見たいとまでは思わないけど、生き方に迷っている人は、見てみたら、自分らしく生きる勇気をもらえるんじゃないかと思います。なんたって実話やからね! それにしても、人間の思い込みってマイナスに出るとこんな恐ろしいことになりうるんやなー。日々淡々と磨いてないとダメですね。あと、物事や事象の本質を簡単に速く解りたい、とか、目標を簡単に速く成し遂げたいって気持ちもアブナイな。じかに目の前で起こってる現象に目を奪われてしまって、より大きな世界で律動する真理が見抜けなくなるってのは日常でしょっちゅう起こってること。今後も心して生きていきたいと思います🙏
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