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男はつらいよ 寅次郎恋歌のエニグマのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971年製作の映画)
3.8
前半は博の母親の葬式、後半は寺の隣に開店した喫茶店のシングルマザーに寅さんが惚れる話。

前回の優しさはどこへやら、いつも以上に寅さんのクズさが露呈している回。珍しく帰省を歓迎するとらやの人達を罵り、さくらを酔っ払いに付き合わせ、勝手に顔を出した岡山の博の母親の葬式でも喪服を着ず墓の前の集合写真では「はい笑って!」という無神経さ。それでもさくらが寅さんに優しくしてくれるのは唯一の肉親だからだろうか。何にせよ不憫でならない。
今回は珍しくあまりマドンナにもガツガツ行かない寅さんだった。何故自分から身を引くのだろうか。
岡山に行った際に博の父親から聞いた「日常の営みの中に本当の幸せがある」という話を柴又でも擦りまくる寅さん笑
博の父親が柴又を訪れた際に「あんな話、どこのバカが吹き込んだんでしょうか」とか言っちゃうおいちゃんに笑った。「まくら、さくら持って来て」という言い間違いも面白い。森川信演じるおいちゃんは本作でラストなのが悲しい。優しいだけでなく、寅さんとの掛け合いなど面白い人だった。

41分頃の奥に向かって歩く寅さんと博の父、手前に走ってくる女学生の自転車、そして奥を走る機関車の構図がいい。アップテンポにアレンジされたテーマも同時にかかって良いシーンだった。

あと珍しく2時間近くある。いつもは大体90分くらいなのに。
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