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真昼の暗黒のkazu1961のレビュー・感想・評価

真昼の暗黒(1956年製作の映画)
4.3
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-418 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋“人の命は権力で奪えるものか”正木ひろしが実際に起きた事件“八海事件”をもとに描かれたこの原作を橋本忍が脚本を描き、今井正が監督、映画化した作品です。とにかく一言で言うと凄い作品です!!

🖋何が凄いかと言うと、この作品が映画化された時、この元となった八海事件はまだ最高裁の裁判が継続中だったこと。にも関わらず4人の無罪を確信して今井正監督は映画化してしまいました。。。映画の冒頭に“これは実際に起こったとおりではない”と断りがテロップで入るのはある意味結審していないものを作品化したことのリスクテイクだと思われます。

🖋この事件の概要は、老夫婦2人が強盗目的で殺害され、最初に逮捕された1人の単独の犯人が、罪の軽減を目的として知人4人を共犯者に仕立てた事件なんです。なので、今井正監督、制作の山田典吾、脚本の橋本忍3人で徹底的に事実調査を行い、4人の無実を確信でしてから撮影に入ったそうです。

🖋そしてもう一つの凄さは、この捜査の際の警察の自白強要、暴力などをあからさまにし、明らかに矛盾がある状況証拠を一審、二審、では警察、検察の言うがままに結審したこと、いわゆる国家の権力の横暴さを正面からあからさまにした作品であることです。

🖋ほんと、杜撰な操作と暴力、公権力の自己保身。。。観ていてとても腹が立ってきます。実際、映画完成時点では、まだ結審しておらず、真犯人以外の4人は12年後ようやく最高裁で無罪が確定したんですね。。。なんと、逮捕から実に、17年9ヶ月後のことでした。絶句。。。

🖋もう一つの見どころは出演する全ての俳優陣の演技が素晴らしいことです。これによってより、リアリティと臨場感が映画として完成度の高いものになっています。

🖋この時代に作られた法廷モノ作品としては最高の作品ではないでしょうか!!傑作!!

😱Story:(参考: allcinema)
三原村で老夫婦が惨殺され、金品が奪われる事件が発生。警察は笠岡市の遊郭にいた小島武志を逮捕、共犯者を自白させるため厳しい取り調べを続けた。やがて捜査線上に小島の土工仲間である植村をはじめ四人の男が浮かび上がる。厳しい尋問に耐えかねた小島は、四人とも共犯だと自白させられ、全員が逮捕されてしまう…。

🔸Database🔸
・邦題 :『真昼の暗黒』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1956
・日本公開 : 1956/03/27
・上映時間 : 122分
・受賞 : 第7回ブルーリボン賞 作品賞
・監督 : 今井正
・脚本 : 橋本忍
・原作 : ※※※
・撮影 : 中尾駿一郎
・音楽 : 伊福部昭
・出演 : 草薙幸二郎、左幸子、松山照夫

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
弁護士正木ひろしの著書「裁判官--人の命は権力で奪えるものか」より、「生きとし生けるもの」の橋本忍が脚本を書き、「由起子」のコンビ、今井正が監督、中尾駿一郎が撮影を担当した。主なる出演者は新人群として、民芸の草薙幸二郎、中芸の松山照夫、牧田正嗣、俳優座の矢野宜、新協の小林寛の他、「神阪四郎の犯罪」の左幸子、「ビルマの竪琴(1956)」の内藤武敏、北林谷栄、「赤ちゃん特急」の飯田蝶子、「早春」の山村聡など。
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