“チェコ・ストップモーションアニメ最後の巨匠”と呼ばれるイジー・バルタ監督の廃墟系耽美作。
廃墟の一室。廃棄されたマネキンたちが人知れず余生を送っている。ある日そこへ人間がやってきて新たな廃棄マネキンたちを捨てていった。新旧のマネキンたが対峙するが。。。
トーキングヘッズ叢書「ヒトガタ/オブジェの修辞学」で紹介されていた一本。廃墟の中で古びたマネキンたちがストップモーションアニメで動く映像は、それだけで好事家としては喝采を送りたくなるところだが、さらにその廃れ美術が完璧で監督が自分と同好の趣味なのが伝わってきた。
新入りマネキンたちのポップなデザインやフリーセックス描写は明らかにアメリカを表していて、共産主義に代わって資本主義に移り変わるチェコを比喩しているのは明らか。落としどころに映りこむテレビには皮肉を感じた。
暗くて汚れた世界なので広くはお勧めできないものの、耽美系の好事家なら一度は観ておくべき一本。
※邦題の”クラブ”がどうもわかりにくい。老人クラブのニュアンスか。