紫のみなと

トム・ホーンの紫のみなとのレビュー・感想・評価

トム・ホーン(1980年製作の映画)
3.9
若くして癌で亡くなるマックイーンの最後から2番目の出演作であり、それ故に、若い頃の痺れるような渋さとはまた違う魅力があります。かつて、ジェロニモを捕らえて名を馳せたガンマンの主人公ですが、もはや時代は移り変わり、牛泥棒を退治するような仕事しかありつけない。実話ベースで非常に悲劇的なラスト、「時代」を描いています。
達観したような微笑みや、山を見つめる眼差し、ライフルを構える姿や馬で疾走する姿のすべてが見終わった後もずっと重苦しく胸に残り、マックイーンは静と動を演じてつくづく味のあるかけ替えのない俳優であったのだと思って涙が出ます。