たらこパスタ

王女メディアのたらこパスタのレビュー・感想・評価

王女メディア(1969年製作の映画)
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久しぶりにげっそりする感じの恐怖体験をしました、ホラーじゃ全然無いのですが私はこの映画かなり恐怖と不安を感じました。その与えられた恐怖と不安の深さが凄かったしマリアカラスさんが魅せまくる表情、地域も世紀も実際には設定されているけどそれらが何にも属さないように思えるロケーションと衣装と音楽も観て良かったと思いました。予想外な分野横断が統一感抜群に物語の雰囲気を語っていたと感じます!

前半のメディアの出身地のコルキスでの大地に命を与える(?)儀式の描写、人間⊂動物⊂有機物の温度、匂い、腐敗 というものをとても感じ、なおかつオカルティックな印象を抱いたので質感も匂いもわかる距離感でどうすることもできない神秘性への畏怖も発生してめっちゃ不安になりました。
そしてその後の展開から、この時私が感じた不安をコリントスの人々もメディアから感じていたのではないかと思った。
メディアが抱いた憎悪とその原因となったコリントスとコルキスの社会規範が異なるゆえに生まれた不安が生み出した断絶をみると、他人事だとは思えなくなってきて、大袈裟にいうとそれまでの社会規範における自分のアイデンティティをぐらつかせられる怖さを感じた瞬間がありました。
たらこパスタ

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