マヒロ

美女と液体人間のマヒロのレビュー・感想・評価

美女と液体人間(1958年製作の映画)
3.5
あるギャングの男が、麻薬の密売の最中に衣服だけを残して忽然と姿を消してしまう。それを追っていた警察はなんの足がかりもなく消えた男の行方を探るため、恋人のチカコ(白川由美)と接触してきた男を捕らえるも、彼はギャングとは関係ない教授の政田(佐原健二)という男で、姿を消した人は放射能の影響で生まれた「液体人間」の餌食になり溶かされたのだと主張する……というお話。

本多猪四郎×円谷英二のお馴染みコンビの特撮映画ながら、液体人間の正体を追うミステリー的な展開と、なす術なく溶かし殺されていく人達を描くホラー的な側面もあり、やや大人向けな気がした。
液体人間に捕食されるとドロドロに溶かされてしまうという設定で、その捕食シーンの特撮がなかなか気合入っており、カット割で誤魔化さずグズグズと萎んでいく人の姿をしっかり見せていて結構怖い。
液体人間には明確な意志が感じられない「ブロブ」とかに近い存在なんだけど、元が人間であるということと、何故かわざわざ東京にやってきてるところなど、もしかしたらこちらに分からないだけで人間としての意識は残っているのかも……というところを示唆してくるのも何やら嫌な後味を残す。

『ゴジラ』と年代が近いということもあるのか反核メッセージも強めで、全てが解決したとは思えないような余韻を残すラストなど、単純な娯楽作品として終わらせないような気概も感じられる一作だった。

(2021.181)
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