矢嶋

美女と液体人間の矢嶋のレビュー・感想・評価

美女と液体人間(1958年製作の映画)
3.9
変身人間シリーズにおいて、個人的に特撮技術が一番面白いのが本作。ケムール人が好きなので必然的に本作も好きになってしまう。

透明人間に引き続きキャバレーのシーンがあり、全体的に暗く怪しい、アダルトでムーディーな作風。キャバレーの楽曲は中々かっこよく力が入っている。
タイトルから想像できる通りお色気要素が結構あるが、あまり下品な感じにはなっていないように感じる。映像特典で触れられている通り、江戸川乱歩の小説を読んでいるような気分になる。

しばらくはじわじわ事件が進行しつつ、液体人間の存在を主張する科学者と証拠がなければ捜査はできないと突っぱねる警察の対立が描かれる。この辺りは地味でもあるが、堅実な話を描いている。カエルの実験シーンもよかった。

液体人間はなんといっても密かに忍び寄り人間を溶かしてしまう怖さ、怪しさの演出が見事。40分以上ある特典映像では、どうやって液体を作り、動かし、人間が溶ける画を作ったか語られており非常に興味深い。

終盤では一気にスケールが大きくなり、下水道にガソリンをまいて燃やすド派手な展開でそれまでの地味なイメージを覆してくれる。

ややドラマが弱い他、また放射能ものか…と思わないでもないが、全体に漂う大人な雰囲気や素晴らしい特撮技術の数々といった魅力の多い作品。
矢嶋

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