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コールド・フィーバーのakrutmのレビュー・感想・評価

コールド・フィーバー(1995年製作の映画)
3.8
7年前に事故で亡くなった両親を弔うために冬のアイスランドを訪れた日本人男性が、現地の人々に助けられ、ときには幻想的な体験をしながら目的地を目指す姿を描いた、フリドリック・トール・フリドリクソン監督のロードムービー。BFI の 10 great Icelandic films に選ばれている一品。

目的地に向かってひたすら旅をするという、まさにロードムービーと言えるようなシンプルな内容ながらも、一面雪の中での自動車旅という旅情をかきたてる映像やときに主人公が経験する幻想的な出来事など、とても魅力的な作品である。永瀬正敏の寡黙ながらもどこか達観したような演技が、この映画(というかこの映像)にとてもマッチしている点も大きい。スーツ姿に革靴という、何も考えずにアイスランドに来ちゃった感も良い。

前作の『春にして君を想う』が国際的に評価されたフリドリクソン監督が、アメリカのインディー映画のプロデューサーであるジム・スタークとともに制作した海外を意識した、英語による初めての監督作品である。そういう関係で、ジム・ジャームッシュ監督の『ミステリー・トレイン』に主演した永瀬正敏に白羽の矢が立ったそうである。

アイスランドのレイキャビクに一度だけ行ったことがあるが、そのときは5月下旬という最も昼間が長いときだったので、今度はほとんど太陽が出ない冬にも訪れてみたい。
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