人間としての価値が奪われた愛なき都市。
ゴダールはアンナ・カリーナを失って、愛が何か分からなくなったのだろう。
一見すると科学に支配された近代文明を揶揄しているようにも捉えられるが、アルファ60は論理つまり頭脳、主人公は意識ないしは心を表していて、当時奥さんであったアンナ・カリーナの愛が冷めてしまった事実を頭では分かっていても、心では理解していない、故に"洗脳"された彼女を僕が助けなくては…という風にも見えるのが面白い。
ラストのセリフはあまりにも惨め。
ジョージ・オーウェルの『1984』と構造が似ているが、ゴダールの描くSF観は非常にユニークで興味深い。