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アルファヴィルの&yのレビュー・感想・評価

アルファヴィル(1965年製作の映画)
4.3
【(4)2015/1/7:イメージフォーラム】
ゴダールの風変わりSF。司令塔α60が仕切る都市「アルファヴィル」では感情を削いで生きることを強いられ、背くと処刑される(このシーン印象深い)。そこへ「外部の国」から自由なレミーが赴き、感情を殺したナターシャと出会う。ざっとこんな感じ、超わかりやすい話。

機械文明をうっすら批判(というか揶揄?)するスタンスは先日度肝抜かれた「モダン・タイムス」とも通底するテーマだし、感情という概念の尊さを与える点では、最近なら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のヘッドホンかけてママのテープ聴かせるくだりなんかを思い出してジーンときたり。

でも、そんなこと関係なく「アルファヴィル」がグッときてしまうのは、きっと今わたしの現在地がほとんど「アルファヴィル」そのものだからだろう。

わたしは毎日、大資本に従事して、感情を表に出すこともなく、「元気です ありがとう どういたしまして」を繰り返してる。そんな息苦しくて退屈な日常は、映画を観ることで救われてる。映画によって、泣いたり笑ったり、言葉を得たりしている(クリスマスの夜、カンパニー松尾観て泣いたし)。

つまり、アルファヴィルな日常からわたしを外部の国に連れてってくれるのはまさしく映画そのもので、要は映画ってわたしにとってのレミーなんだよね。愛の言葉を得たわたしは、わたしにとってのレミーに「あなたを 愛しています」って、いくらでも言ってやるって、思ったよ。ええ、映画を愛してますよ。

これはそんな「愛の言葉」と「意味」を得る物語だけど、もうすぐ公開のゴダール新作は奇しくも「さらば、愛の言葉よ」。このラブ・キャッチ&リリース3Dの顛末には不安も期待もいっぱいだけど、ワクワクして公開を待とうと思います!

(ただ、わたしの極薄仏語知識の記憶よると、原題「Adieu au langage」のAdieuって地域によってはそれほど強い告別を意味しなかったり軽い挨拶で使ったりしてた気もするんで、やっぱ本意は観なきゃわかりませんな。邦題に騙されないぞ。)
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