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ブルース・ブラザースのOscarGrooveのネタバレレビュー・内容・結末

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

現代では絶対撮れない映画シリーズ。映画の中ではなんでもアリだ!と思うわたしでも倫理観を問うてしまいました。というのも…。あとレイチャールズがまじヤバい。

刑期を終え黒ずくめのスーツに帽子で出所した小太りのジェイク。迎えるは同じく黒スーツのエルウッド。2人は孤児院育ちのろくでなしな義兄弟。育った孤児院に顔を出すと税金が払えなくて取り壊しになってしまう、とシスター。そこに天啓が降り、昔ならしたバンドを組んで窮地を救うべくひと稼ぎということに。

もちろんお金はない。とりあえず車を走らせかつての仲間を集めて回る。ここでひょんなことから警察やナチに目をつけられて追われる身に。警察を振り切るためにショッピングモールを突き抜ける。突き抜けると言ってもやりすぎで、一階のフロアは壊滅したと言っていいだろう。一応の仮暮らしの家には謎の女がバズーカを打ち込んだり爆破したり。ブルースブラザーズに心休まる場所などないのだ。

そしてその仲間集めの道中は現代のテレビからも聴こえるような音楽のミュージカルパートで、結構な有名人が出てくる。牧師役でジェームズブラウン、レストラン店主役でアレサフランクリン、楽器屋にはレイチャールズが。前情報なく観たので興奮しました。この時点で、当時のコメディアンや有名人が集まったバラエティ作品なんだな〜と感じた。それにしては黒人差別やナチや施設を壊したりお金をせびったり等々、結構センシティブっすね…!と、ちょっと引くくらい、行く先々でトラブルの連続。

で、なんやかんや乗り越えて最終コンサートは成功する。というか警察やナチも来てたので途中でいい感じに逃げる。レコード会社から契約の打診で大金を受け取り、半分は仲間のギャラに、もう半分は孤児院の税金に充てるため再び逃走。朝まで逃げおうせて朝イチで税務署に駆け込み、速攻で5000ドルを支払い完了。そして警察に囲まれ兄弟はお縄に。監獄でも2人は歌って踊ってエンディング。

「これは、良い話なの…?」が第一の感想でした。確かにさ、育ちの家を守るという良い事を成し遂げた。けど、それにしてはずいぶん破壊しましたね…と後ろめたくなって不思議な感覚になった。きっと、少なくともこの当時は、あれらの犠牲を振り返らずにバラエティとして受け取って笑えたのだろう。時代を感じた。いま日本のテレビはハリセンもNGと聞くし、こんなの地上波で流せないよね。でもそういう映画で名作と呼ばれている作品は少なくないし、増えていくんだろうな〜と思いました。そういうの全部込みで良い作品です。

最後に、この作品の最大の見どころを。
レイチャールズがマジのヘロイン中毒でバッキバキです。いろいろ倫理的に〜とかなんとか言いましたけどね、ここです。いちばん危なかったです。明らかに様子がおかしくて笑っちゃいます。現存する映像で1番鮮明なヘロイン中毒者が観られる映像作品ではないかと思います。
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