影のある、というか過去のある男という役柄はドロンによく似合う。本作は製作も兼ねている。
田舎町の高校にやってきた教師役で、無精ひげにキャメルのコートを着崩して、授業中もくわえタバコ、教卓でフィガロ紙を広げる、と徹底した不良教師振り。世間がドロンに対して持つスタイリッシュなイメージを崩さんとする。「君はこの仕事を天職とは思っていないね」と校長に言われて、うなずく姿は印象的だ。
女子生徒とすったもんだがあった後、「俺は優しくなんかない」と言いながらも、妻の身を案じるあまりに悲劇的な結末へ進むラストがいい。
