猫そぎチャンスペロッテ

灰の記憶の猫そぎチャンスペロッテのレビュー・感想・評価

灰の記憶(2001年製作の映画)
5.0
ポーランドの絶滅収容所で母親が小さな子供に「どうせ死ぬのよ、何を聞かれても黙っているように」と教える。

絶滅収容所には、4ヶ月の延命とわずかな食料のためにナチスに仕えたユダヤ人たち(死体処理を担うゾンダーコマンド)がいた、

ゾンダーコマンドたちは同じユダヤ人たちを騙す
「健康のために消毒するだけです」「シラミで死ぬ」
「済んだらまた家族と一緒だ」「洋服掛の番号を覚えておくように」
同胞に同胞を殺させる。手を汚さずに。

(シャワーの後でここに戻る、)
ゾンダーコマンドたちは、本物のお湯が出るシャワーを浴びる、同胞が死に、死体処理が終わった後で。そして彼らも用がなくなれば殺される。

抵抗するものは、死ぬまで殴り続ける、同じユダヤ人の“ゾンダーコマンド”たち、(ニンゲンハオソロシイ)

人間は生きるためなら何でもする、簡単に昔の自分を忘れた。もう戻れない、

そして一度助かった少女も殺される❗

《灰の記憶 THE GREY ZONE》
焼却炉の半分が暴動で壊れて━
(私は)残った炉に入った、
私は すぐ焼けてしまった、
私の身体は濃い煙となって
立ちのぼり━
みんなの煙と混ざり合った、
焼け残った骨は灰になり━

灰は吐き出され
川に運ばれる、
そして最後に
わずかな私たちの灰が━
次のグループのもとに残り
空中に漂う、
灰色(グレイ)のチリ(ゾーン)となって━

私たちは彼らのクツや
顔につく、
肺の中にも、
彼らはすぐに慣れる、
咳をしなくなるし、
私たちをぬぐいもしない

この時の彼らは動くだけ
ただ息をして動く
ここで生きている人たちは
みんな そう
こうして━
作業は続いて行く



ハンナ・アーレント「思考の力」
世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです。そして、この現象を、私は”悪の凡庸さ”と名付けました。