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灰の記憶のTSのレビュー・感想・評価

灰の記憶(2001年製作の映画)
3.6
【サウルの息子と同テーマ】
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監督:ティム・ブレイク・ネルソン
製作国:アメリカ
ジャンル:戦争
収録時間:109分
興行収入:約5100万$
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何という偶然。基本的に僕は店でフラッとレンタル屋にいっては、目に付いたタイトルのものをカゴに入れます。タイトル的に戦争の話かと思い借りたところ、先日見た『サウルの息子』と同じジャンルの内容でした!こんな短期間でまさか「ゾンダーコマンド」の映画を二本見ることになるとは。。文部科学省選定作品だそうです。

『サウルの息子』と扱うものは同じと言えど作風はまるで違います。あちらはサウルにカメラワークを当てて、緊張感ある作風でしたが今作はクセもない正統派といったところ。しかし、『サウルの息子』を見た後ではどうしても見劣りがしてしまいます。内容の重さに優劣をつけるつもりはありませんが、やはり撮影の仕方とかには目がいってしまいます。挙げ句の果てには英語ですし。。まあこれは『縞模様のパジャマの少年』や『シンドラーのリスト』でもそうなので言っても仕方ありませんが。

内容は、アウシュヴィッツにおいてゾンダーコマンドというユダヤ人廃棄特殊部隊が延々と作業をしながらも、どうせ死ぬなら一矢報いてやろうというものです。
まずゾンダーコマンドになった特典として、四ヶ月の処刑延期というのが付いてくるのが衝撃的でした。いずれ殺されるのは知っていましたが、こうも期間を具体化して明示されると唖然としてしまいます。
結局は殺されるのか。。四ヶ月生き延びる意味。。この辺りについて深く考えさせられましたね。

焼却、ガス室、銃殺のシーンが出てきますのでこれらを見るのに慣れてないと少々厳しいかと思います。特に最後の処刑は凄惨なものです。人間はあそこまで追い詰められたらどう感じるのでしょうか。
「じゃ」という言葉がとてもひっかかりました。まるで、その辺に出かけるくらいの声かけ。それ程、彼らの中では「死」というものがすぐ隣にあったものだと認識することが出来ます。

ナチスのホロコーストを扱う映画はたくさんありますが、今のところ今作が最もアウシュヴィッツに焦点を当てている作品だなと思いました。しかしそれだけで、総合的には『サウルの息子』には到底及ばない。もっとも、これは主観的な感想なのでこちらの見せ方を好む方もたくさんいらっしゃると思います。
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