える

となりのトトロのえるのレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
4.3
当時LDだかVHSだかで擦り切れるほどに観た

ジブリで一番好きな作品はどれですか、に対して僕はいつも『となりのトトロ』だと答えている。

まず、舞台がとても良い。長閑な田舎で田んぼと畑以外何も無い。お化け屋敷みたいなボロいお家の傍に明らかに御神木サイズの楠。人類の営みを何百年、何千年と見守ってきたであろう鎮守の杜に、クマみたいな神様がいてもおかしくない、と思わせる素敵な舞台設定。神は木や岩に宿る日本的アニミズムの象徴。

次にトトロのなんと愛らしいことか。あの丸々フサフサとしたフォルムに、すべてを包み込んでくれる安心感を覚える。困っている子供には必ず力を貸してくれるだろう、そんな気さえする。それでいて、どこかボンヤリとしていて何を考えているのか掴めない感じ。もちろん悠久の時を過ごしてきた神様の思考など人間ごときに理解できるはずがない。そういう点で中トトロはまだ未熟なんだなぁ。人間に姿を見られそうになって慌てて逃げ出すような奴はまだまだってわけ(誰

そしてストーリー。誰も死なないし、誰も痛い目に遭わないし、みんな優しい、そしてハッピーエンド。完璧だ。

本作は良い意味で、いくつになっても安心して観られる。難しいストーリーに置いて行かれないし、人類史への問題提起的なメタファーを読み取らなくていいし、ただ頭を空っぽにしてトトロのいる世界に思いを馳せよう
える

える