venom9

となりのトトロのvenom9のレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
4.0
ジブリ作品で一番好きです。
話がシンプルかつ尺が短くて良いです。子供はもちろん、大人が観ても楽しめますね。
宮崎駿の里山への憧憬、郷愁の念が詰まっています。宮崎翁、東京市生まれですが大東亜戦争期4歳の頃に宇都宮へ疎開、10歳くらいまで暮らしています。また、母が結核で長期入院していたとのこと、まさにメイは宮崎本人のアバターと言えます。メイは主人公としては幼すぎるので、狂言回し的に姉のサツキが創作されたのかなと想像します。あるいは、宮崎が宇都宮を去ったころとサツキの設定年齢が符合するので、メイは宇都宮にきた頃の宮崎、サツキは去る頃の宮崎、でしょうか。
彼の他の作品で描かれる市井の人々も同様、本作で描かれる里山の人々もみな素朴で利他的で、宇都宮は宮崎にとって印象の良い土地なのだろうと思います。
彼の他の作品群からはテクノロジーに溺れ退廃した人類への侮蔑の念を感じますが、今作は自然への畏敬の念、自然と共生する里山の人々への慈しみが溢れています。
venom9

venom9