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となりのトトロのpikaのレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
4.0
子供の頃も、大人になって子供が生まれたあとも何十回と見てて3桁くらい見てるかもしれないというくらい繰り返し見てるのに飽きない。いつ見ても面白いしボーッとついつい手を止めて見ちゃう。何度も見てるのに、いや見すぎているからこそその良さとか魅力などを改めて分析し感想を言うなんてことが難しく思えてレビューを書けずにいたが、最近ロシア文学を読んでいて、その時代特有の文化や情景、人間たちの生活や人柄などをきめ細やかに記録することの芸術性に触れ、ニコライ・ゴーゴリを読んでいてこれは、このトトロは『マジックリアリズム』というやつなんじゃと思い立った。
昭和の田舎の風土や文化、生活を描写し、なんてことない日々と些細な事件が起きる。その中で彼らが自然と同居し、慈しみ敬う姿をトトロという不思議な存在と絡めてファンタジックに表現し記録したものではないか。昔は良かったとかそういうのではなくただただ遺すという意味で、我ら祖先は自然とこんなふうに過ごしていたんだというような。
今を生きる子どもたちと何ら変わることなく生き生きと過ごすサツキやメイと友達のように画面を通じて会う感覚。人間の普遍性と社会や文化や生活の変化を同時に捉える記録の物語。
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