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とべない沈黙のパンのレビュー・感想・評価

とべない沈黙(1966年製作の映画)
4.7
黒木和雄監督のデビュー作にして大傑作。
アート系映画の最高峰だが1966年当時の日本ではあまりにも前衛的すぎる内容だったのでお蔵入りになっていた…
ただフランスでアンリ・ラングロワに絶賛されたということから観る人が観れば当時からしても凄い映画だったというわけだ。

良くこの時代にこの映画を撮ろうと思ったよね。
もうその事実だけで感心してしまう。

ナガサキアゲハの幼虫が日本全国を横断していくなんだか奇妙な物語だ。そして蝶の化身が加賀まりこさん。
人間以外の視点から様々な人間模様を映し出してくれるのが面白い。

若かりし加賀まりこさんが「一人ぼっちの蝶々~」って歌ってるシーンが最高すぎる。あそこはこの映画のピーク。

原爆被爆者の生の声が出てきたりとか若干社会派要素もあり。
この時代の京都の動物園が出てきたり人が賑わう大阪の地下鉄の映像とか何気に映像資料としての価値も高いと思う。高画質だし。

あと大阪のおばちゃん同士のお喋りがなんか良いw
ただわからなかったこともあって、あの大阪編のサラリーマンとセックスした女はなんであんなに笑ってたんだろう?どう解釈したらいいんだろ。
そこだけは最後までわからなかったな。

そしてこの作品はDVDも高額。
いつかブルーレイ化して欲しいなあ。
日本人のATGファン自体が少ないからそれも厳しいのかなあ…

※追記 2024年2月19日
フィルマークス運営様。
つい先日リクエストした通りこの映画のサムネを追加してくれてありがとうございます!助かります。
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