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太陽を盗んだ男のmizukiのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.6
わかる。わかりたいとかじゃなくてわからされてしまうんだよなあ。この映画のエネルギーはすごい。行き場のないフラストレーション許容してくる、懐深く。
狂ってなんかないよ。優しさだけで世界が平和になるなら、こんなことする必要ない。最大級のアイロニーで、爆弾を所持して、自分勝手風に振る舞う。武力を振りかざして守りたいものは何?欲しいものは何?国が決めていることも、人が決めていること。だから、国民と意見が簡単に解離する。しょうがないことだし、おかしいって言い続けていかなければいけないことなのでは。それが、作品全体から感じた焦燥です。
みんなで幸せになるつもりだったのに、爆弾を作っていたら被曝して、死の予感がしたら、「みんな死んでも構わない」に変わってしまう。ヒーローから殺人鬼になる瞬間などなく、グラデーションで描かれているのもすごすぎる。神様じゃないから、生死の淵に立たされたら人はいくらでも最低なことしちゃうんだよな、きっと。良くしたかった、けど、良くできなかった、色々。切ないしそれが現実だし、でも良くしようと思う気持ちはなくさないほうがいいなあと思った。この作品はそれを願っている気がするから。


エヴァの挿入曲、この映画のやつだったんだ。『YAMASHITA』。平穏ってこれだよな〜、が、表れていて、それを汲んでエヴァの挿入曲になってるのもやばいですね。
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