柏エシディシ

メメントの柏エシディシのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
3.0
たいていの日本の映画ファンと同様、自分の初ノーランは本作。確か渋谷PARCO PART3で観たのだと思う。
リワインドスリラーとしての触れ込み、観た当時はあまりの前評判の盛り上がりに「面白い事考えるけれど、そこまでじゃあ無いかなぁ」と呑気に思った記憶。
処女作の「フォロイング」を観た勢いで家で再見してみたのだけれど、展開自体は割と鮮明に覚えていてオチそのものも解っている(つもりで)フンフン観ていたのだが、落ち着いて観ると、終幕はかなり曖昧なオープンエンディングなんだな、コレ。
若い時はテディの言う事をそのまま受け取って、「期待してたより凡庸なオチだな」なんて思ってしまっていた!w
もちろん主人公"レニー"は勿論のこと、それこそ「信用するな」と繰り返される通り、テディの最後の言葉(正しい時間軸としては最初の言葉なんだけれど、ややこしいw)だって、今更信じ得る理由なんてないのだ。(そして自我への疑いの導き手がマトリックスのキャスト2人という目配せ)

記憶としての映画の伝統主義、至上主義のノーランは、同時に記憶や時間への懐疑主義者であり、その事を物語に落とし込み異議申し立て、コントロールを試みる者でもあるという事。面白い。
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