冒頭の写真を乾かしているシーンで、この映画がどんな進み方をするのかがわかる。噂に違わずとても面白かったです。
逆再生をするとこういう見え方になるのかと、その緻密に練られたストーリーの芸術性に純粋に驚き、感心してしまいました。細かく巻き戻されることで、観る側もレナードと同じように「今目の前にいるこいつは誰だ？」と戸惑いながら観ることになる。レナードと違うのは、細かく区切られたそれらをつなぎ合わせることができるということと、それによって立ち位置を把握し、ある意味安心できることでしょうか。観客にだけ許された特権ですね。
しかしいざストーリーの中身を覗いてみるとそれはけっこう残酷で醜い。ラストもクールでカッコいいけれど、あまり後味がいいとは言えない。それでも、綺麗事や善意だけでは済まされないように世界は成り立っているから、これもまたある意味では真であるような気もする。
