YYamada

メメントのYYamadaのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.0
【監督クリストファー・ノーラン】
第2回監督作品

〈見処〉
①ノーラン監督の代表作
・前作『フォロウィング』にて世に出たノーラン監督が、初めて商業目的にて製作した監督第二作。
・『メメント』とはラテン語で「思い出せ」の意味。
・妻の殺害犯から受けた頭部の外傷にて、事件後の記憶が10分間しか保てない前向性健忘の男性による犯人追跡のストーリーは、ノーランの盟友である弟ジョナサン・ノーランによるコンセプトを基に創作されたもの。
・その革新的な作風により、インディペンデント作品でありながら評判が広がり、公開10週目にして全米チャート8位にランクイン。アカデミー脚本賞、編集賞にノミネートされるなど、興行的にも批評的にも高く評価され、後の『ダークナイト・トリロジー』の監督に抜擢されるきっかけとなった。
・前作では、友人や家族とともに製作していたアマチュア監督が、400万ドルの製作をかけ、何百人ものクルーを動員した本作は、ノーラン監督にとって、自分の身長よりも深いところで泳ぐような、大きなチャレンジだったそうだ。

②新進俳優による先鋭的演技
・『LAコンフィデンシャル』('97)、『マトリックス』('99)にて、それぞれメジャー俳優として認知されたガイ・ピアース、キャリー=アン・モスを主演に配役。
・同じく『マトリックス』のジョー・パントリアーノを含めた3人は、シーンごとに正悪定かでない難役を見事に演技。
・特にピアースは、全身刺青によるアウトロー的な演技による、優等生イメージを払拭。他作品とのギャップが大きく同一人物とは思えない。

③ノーランらしさの演出
・複数のメモや身体の刺青メッセージにより、妻殺しの犯人を探求するスタイルは、「フィルム・ノアール」がベース。
・また、本作は、ノーラン監督のお家芸である「並行時系列映画」。『パルプフィクション』に代表される同ジャンルであるが、本作がその頂点にあると思う。
・過去に遡る「カラーパート」と、そのままの時系で進行する「モノクロパート」が交わりあってストーリーは進行。
・その中間点となる、映画のラストシーンにて時系列が融合するが、 主人公が撮影したポラロイド写真が色づくシーンによって演出したノーラン監督は、商業作品デビュー作とは思えぬ力量を発揮している。
・また、いわゆる「どんでん返し」系作品としても秀逸。自分は見事に騙されたことを記憶している。
YYamada

YYamada