フォンザヲ

マシンガン・プリーチャーのフォンザヲのレビュー・感想・評価

マシンガン・プリーチャー(2011年製作の映画)
3.0
後味の悪い実話。
映画だからといって必ず鑑賞者が救われるといった決まりはない。だが、最後に自分の主張だけ押し付けるように終わってしまっては残された私たちは何を考えれば良いのだろうか。もう少し考え、悩む余地を残して欲しかった。

本作はサム・チルダースという実在する男性の人生を描いている。
薬中のクソ野郎をジェラルド・バトラーが演じ始めた時点で既に惚れちまう。
ある時、神の祝福に触れ改悛するサム。元々クズにしては行動力があったためか、仕事も順調、家庭の幸福を得る。
ある牧師に感化され、スーダンへ飛んでいく。そこで見た悲惨な現実に目が背けられないサム。子供を助けたい。純粋すぎるこの想いがサムから家庭の幸福を奪っていく。

と、まあこんな感じのストーリーです。
正直、サムの行動力についていけない人を羊とやじって、色々と反論したい人を行動力でマウントしていく様は、見ていて不快になる。しかし誰も彼を批判できないように、我々の多くは行動できない。サムはそんな人の弱さを救うよりも、目の前で弱っている子供を優先した。自分の幸福を捨ててまで。

奇特な方だとは思うが、映画は彼を賛美するだけに終わってしまい、モヤモヤが残るラスト。実際現実でもこのモヤモヤは消し去れないし、その原因は自分にあると思う。
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