前半は普通の洞窟潜入ドキュメンタリーだが、後半になると人間とはなんなのかという問いかけに変わっていく。終盤ではこの映画も人間の生み出した記録として主張を始めるのだ。
特に撮影後記はかなり辛辣な問題提起で、とても強く印象に残った。
また、当時の最先端の調査方法の対照として原始的で感覚的な調査方法の紹介や人間の文明が外の世界(＝自然現象や他の動物)と融合した壁画の魅力、さらには壁画がもたらした科学的、生物学な発見(絶滅したライオンのたてがみ)と非科学的な発見(信仰について)などさまざまな視点から世界最古の壁画を解明していて、知的好奇心もくすぐる一作になっている。
個人的にはこの映画の公開からさらに年月が経ち、現在の最新技術で改めてこの洞窟を調査しているところを見てみたい。新たな発見もあるだろうし、それによって生まれるであろう新たな謎も気になる。
