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アパッチのHKのレビュー・感想・評価

アパッチ(1954年製作の映画)
3.5
アパッチはインディアンの中でも最も強力で好戦的と言われた部族。
戦士ジェロニモの一派がついにアメリカ政府に降伏、列車で護送される途中で一人のアパッチが脱走、その後も捕らえられては脱走を繰り返し・・・

そのアパッチ族の主人公マサイを演じるのは白人のバート・ランカスター(当時41歳)。
浅黒いメイクでインディアンっぽく見せていますが、いかんせん瞳が鮮やかなブルー。
この頃はまだカラーコンタクトは開発前だったようです。

お相手のインディアンの女性を演じるのも白人のジーン・ピーターズ。
この人、先日観た『拾った女』ではリチャード・ウィドマークに殴られ、本作ではランカスターに縛られ、美人なのになんだかいつも手荒に扱われている印象。

同じアパッチながら白人側につきマサイと敵対するホンド役にチャールズ・ブチンスキー(後のブロンソン当時33歳)。
3人の中では一番インディアンに近い容貌のせいで、この作品の後も何本かインディアン役をやっており、マイケル・ウィナー監督の『チャトズ・ランド』(1972)ではやはりアパッチの堂々主役を演じています(インディアンなのにマンダム髭に違和感)。

演じているのは白人とはいえ、インディアンが主人公というのは当時かなり画期的だったはず。製作も兼ねたランカスターの当時からの問題意識がうかがえます
平原の狩猟民族であり常に戦士であったはずのアパッチが、終盤で一所に住居を構え農作物を育てる姿が象徴的。

監督はまだ新人の頃のロバート・アルドリッチで初のカラー作品。
原題もズバリ“Apache”
アルドリッチは後にやはりランカスターと組んで名作『ワイルド・アパッチ』(1972)を撮っていますが、このときのランカスターはアパッチを追う側の軍の雇われ斥候でした。

ちなみに映画でインディアンの主要キャラを本物のインディアンが初めて演じたのは、『小さな巨人』(1970)のチーフ・ダン・ジョージだとか。このときの役はゴルデングローブとアカデミー助演男優賞にダブルノミネートされています。
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