革芸之介

実録外伝 大阪電撃作戦の革芸之介のレビュー・感想・評価

実録外伝 大阪電撃作戦(1976年製作の映画)
4.0
<新文芸坐・中島貞夫映画祭>
松方弘樹も渡瀬恒彦もロックでパンク。東映実録物の最強の1本。アクションとバイオレンスが凄まじいスピード感と画面の躍動感で疾走する。

冒頭、大阪の街の空撮をバックに酒井哲のお馴染みのナレーション。これまた実録でお馴染みのヤクザさん達の集合写真。早くも室田日出男さん写り方がファンキー。

大阪進出を目指す神戸の川田組と地元の双竜会の抗争をハードに描きますが、この映画もう熱い恋愛映画です。松方弘樹と渡瀬恒彦の男の友情を超越した、まさに「愛」。

だから「対峙」の映画でもあります。松方と渡瀬、最初の出会いは賭けボクシングの試合会場。最初はお互い敵対する関係。反対の観客席で「対峙」。結局、この最初の反対側のリングでの構図の出会いから、今度は味方同士として最後の人質交換シーンでの松方と渡瀬の「対峙」で、最初と最後お互いに「対峙」しているんですね。

二人がお互い認め合って惚れあうきっかけになるシーンも素晴らしい。松方と渡瀬はボクシングで殴り合いしますが、その途中でカットが変り二人が裸で水を浴びるシーンに。この場面だけで、二人に特別な感情が芽生えたことがわかります。

自分の組を破門された渡瀬は松方達と協力して巨大組織の川田組に戦いを挑みます。

敵方も小林旭、丹波哲郎、成田三樹夫など相変わらず濃いお方達。そんな豪華キャストの中でも最高の見所は、今作のコメディリリーフとしての織本順吉。仁義なき戦いの金子信雄のように情けないダメ組長を演じてますが、憎めない存在なんですよね。本作のバイオレンスな空気感の中で織本順吉がまさかの「癒し系」に変身。

転倒した車が爆発し燃え上がる炎を背景に松方が渡瀬を抱きかかえるシーンは怒りと悲しみと美しさが共存する名シーンです。
革芸之介

革芸之介