LeShinji

屋根裏部屋のマリアたちのLeShinjiのレビュー・感想・評価

屋根裏部屋のマリアたち(2010年製作の映画)
3.0
ルッキーニ、キベルランの豪華キャストの割にはかなり残念だった記憶があります。昔の感想を貼り付けておきます。

ファブリス・リッキーニ主演の『屋根裏のマリア(Les Femmes du sixième étage)』を見た。
ストーリーは... 60年代のフランス、祖父の代からの信託銀行で頭取をつとめるジャン=ルイは、妻や子供たちと不自由はない生活を送っていた。しかし、若いスペイン人家政婦マリアを雇うや,若いマリアへの恋心から、考えを変え,ついに家庭を棄て,みずから家政婦たちが暮らす屋根裏=7回に引っ越す...
正直な印象は... 「なんでこんな映画にあのルッキーニが?」だった。
彼のステージ,あるいはセリーヌ,ランボー,ラ・フォンテーヌの朗読からも分かるように,彼には彼にしかできない独特のテキスト解釈をする知性と,それを見事に演じる技術がある。そんな彼がどうして,こんな平板で,陳腐なシナリオの映画に出演するのか...人生を変えてみたい悩める中年を狙った映画なのだろうが,それなりの人生経験を積んできたオジさん,オバさんがこんな安易なシナリオにはたしてどれだけ引っかかることか... ?
頭の良いかれのことだかれ,これまで毒の強い役や,個性の強い役柄を演じてきた故に,ここらで善意の人,個性のない中年の役柄をあえて演じてみたかったのかもしれないが...
次回はルッキーニにふさわしい映画で彼の怪演を見たいものです。
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