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屋根裏部屋のマリアたちのakrutmのレビュー・感想・評価

屋根裏部屋のマリアたち(2010年製作の映画)
4.0
60年代のパリを舞台に、証券会社を経営する資産家のジャン=ルイと、彼が住む建物の女中部屋に住んでいるスペイン人のメイドたちとの交流を、ジャン=ルイと女中マリアの関係とともに描く、ハートフルな恋愛映画。

当時のスペインはフランコによる独裁政権であるため、多くのスペイン人が仕事や自由を求めてフランスに来ていたのであろう。ある意味では現実感が薄い物語と言えるのかもしれないが、故郷を離れて異国で辛い仕事をきちんとこなしながら陽気に暮らしているメイドの女性たちの生き方に触れていくうちに、ジャン=ルイも自分の生き方を見つめ直していくというストーリーは、温かくて清々しい気分にさせてくれる。個人的には、ちょっと楽観的すぎるストーリー展開のようにも見えるが、フランス映画にしては珍しい明らかなハッピーエンドで終わるので、安心して観賞することができる。

『PARIS』や『危険なプロット』もそうだが、ファブリス・ルキーニはこういう男性の役をやらせたらピカイチである。マリア役のナタリア・ベルベケの美しさもなかなか良い。また、ペドロ・アルモドバル作品でお馴染みのカルメン・マウラやロラ・ドゥエニャスなどのベテラン女優たちの演技が、本作の完成度を高めるのに一役も二役も担っている。
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