踊る猫

やさしくキスをしての踊る猫のレビュー・感想・評価

やさしくキスをして(2004年製作の映画)
4.5
信頼出来る相棒/脚本家ポール・ラヴァーティと撮ったこの映画は実にタフ。宗教と家族の絆、そしてそれを超える恋愛について綴られたものなのだけれど、贅肉は何処にもなくこちらを釣っていく。なるほどラストはやや日和った感があるが、しかし豪胆なハッピーエンドに持っていかなかった(ネタは割るまい)ところにケン・ローチの胆力を見た思いがした。『ケス』『SWEET SIXTEEN』を観た時に感じたのにも似た、こちらの感情移入を敢えて拒む、厳しいラストだと思ったのだ。9.11以降にこの作品を世に問うた彼の勇気は凄いし、恋愛を描きながら決してロマンティックに持っていかかない(だからこの映画は実にビターテイスト/ハードボイルド)。拙い濡れ場のアラも笑って許容しようと思ってしまう、そんな凄味がある。映像美? それについて考えるのは止めよう。彼はダニー・ボイルとは違うのだから。
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