半兵衛

石川五右ヱ門の法事の半兵衛のレビュー・感想・評価

石川五右ヱ門の法事(1930年製作の映画)
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1920年代後半から30年代中盤にかけてスラップスティックかつナンセンスなギャグ映画で一世を風靡した松竹時代の斎藤寅次郎監督(後に『男はつらいよ』の某キャラクターと名前が被るのが嫌で寅二郎に改名)、全盛期の作品はほとんど現存していないと思われていたが近年これと『モダン怪談~』が完全ではないが発見されて映画ファンを驚かせた。

正直内容は石川五ェ門の子孫の青年が愛した女性と駆け落ちしようとして失敗し、死んだところ五右衛門の幽霊が出現して彼の力を借りて恋を成就させるという他愛のない話だし、ギャグもしょうもないものばかりでキートンやチャップリン、ロイドに比べると正直落ちる。それでも昭和初期の人たちがどういうギャグで笑っていたかわかる貴重な資料になっているし、主人公の渡辺篤(『生きる』の序盤で志村喬をからかう人)がロイドのメイクをしていたりチャップリンそっくりの人が登場したりとアメリカ喜劇の影響を強く受けていたことがわかる。

主人公が幽霊のためか、土葬された主人公がよみがえって地上に這い上がったり(もしかしてゾンビなのか?)骸骨を使ったりとホラーテイストなギャグが多めでそこは結構好き。あと子孫を助けるというわりには自分の法事をおこなわさせたりヒロインに手を出そうとしたりと目立ちたがり屋なのが可笑しい。

でも一番の驚きは主人公の恋仲になるヒロインが結構な美人なこと、製作された昭和初期はそうでもなかったのかもしれないが現代だったらブレイクしそう。
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