1960年。コンゴ民主共和国のベルギーからの独立の立役者、
パトリス・ルムンバが主人公。
ルムンバは、一旗揚げようと思ったのか都会に出ます。
持ち前の口のうまさで、ビール会社の販促員などをやりながら、
演説にも磨きをかけて、政治の世界でも力を付け、
若くして首相の地位まで上り詰め、コンゴ独立劇の中心人物となります。
しかし、旧宗主国や既得権益者と真っ向から対立する急進派であったため、
独立を勝ち取るために一度は共闘した仲間からも疎んじられるように、
最終的には殺害されてしまうという話です。
冒頭、死体となったルムンバが、語り部となっているのですが、
何が何やらで、わかりづらかったです。
死体からはルムンバの特徴である眼鏡が外されてしまっていて、
顔もはっきり写されないので、後に出てくるルムンバと同一人物だと気付けないし、
そもそも、なんの前触れもなくいきなり死体がナレーションを始めるとは思わないので、
ただのナレーションだと思ってきいていました。
作品を見終わって、いろいろな知識が得られた後に冒頭のシーンを振り返れば、
演出としてけっして悪くはないと思えるのですが、
もうちょっと、わかりやすいうまいやり方があったかなと。
ルムンバが殺害された翌日には、土に埋められた死体は掘り起こされ、
硫酸で溶かされた(埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人の表現を借りれば、
「ボディを透明にされた」)というエピソードがあるそうで(wikipedia調べ)、
もともとそういう知識がある人が見ればまた違うのかとは思います。
現地人による、いろいろな政党、政治勢力があり、
権力争いをしているという構図が描かれています。
100年ほど前に国王が暴虐の限りを尽くしていたことを考えるに、
独立前なのに、それなりに教育が行き渡り、
そこそこ民主化が進んでいたのだなと言うのが率直な感想です。
主人公を演じた役者は、眼光鋭く、弁も立ち、
写真で見る限り、本人に似ているようだし、適任者だったと思います。