マヒロ

スローターハウス5のマヒロのレビュー・感想・評価

スローターハウス5(1972年製作の映画)
3.5
主人公のビリー・ピルグリムは特殊な時間移動能力を持っていて、自分が体験した過去・未来どこにでも飛ぶことが出来る代わりに、自分の意思で飛ぶことが出来ずに何かをきっかけとして自動的にどこかの時代に飛ばされてしまうのだった…というお話。

時間移動というキーワードが出てくるのでSF的な映画のように見えるが、話の軸がビリーが大戦中に体験したドレスデン空襲の時代になっているのであまりSF感は無い。時間移動というのも、例えばある時代でシャワーを浴びるとまた別のシャワーを浴びている時代へ…といった感じで(『クラウド・アトラス』を想像してもらうと分かりやすい)画面がいつの間にか切り替わっているので、時間移動なんていう大層なことをしたように見えず、もしかしたら主人公が白昼夢を見ているだけなのでは…というくらいの曖昧さ。

そもそも主人公が特殊能力を得たきっかけは?というのはオープニングで主人公自身の口から語られるものの(あえて何なのかは伏せる)、それもめちゃくちゃ突拍子もないことでどうにも信じがたい。
果たしてこれは本当に主人公の身に巻き起こった出来事なのか、それとも頭の中で起きているだけなのか……というのは最後まで明かされないんだけど、ムズカシイこと考えなくても全く違った時代を漂うように行ったり来たりするこの不思議な映画体験だけでも充分面白かった。

(2016.52)
マヒロ

マヒロ