ちぇりー

マッチスティック・メンのちぇりーのレビュー・感想・評価

マッチスティック・メン(2003年製作の映画)
3.0
以下、本作の主役こと詐欺師アーティストによる詐欺師入門。

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其の壱 近所は避けるべし
其の弐 メモは取るなかれ
其の参 九割は予測不可と肝に銘じとくべし
其の四 臨機応変に対応すべし
其の伍 引っかかる相手を見定めるべし
其の六 “自分自身”を売るべし
其の七 絶対に騙す相手に騙されるなかれ
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とここまでが、詐欺師入門だそう。しかし、鑑賞し終えた今、それでは詰めが甘い。詐欺師未経験のわたくしめが僭越ながら付け足しさせて頂きたく候。

※ネタバレ注意。


其の八 詐欺師は家庭を持つな。孤独であれ。
其の九 他人を“絶対に”信用するなかれ。
其の拾 騙されない人間なんてこの世に居ない。

・・・よし、これで詐欺師アーティスト十戒の完成‼︎ いかがでしょうか、鑑賞済みの皆さま。


部屋の状態と心の状態はリンクする––––。
私は心の器がお猪口の裏並みに狭い人間なので、ラストにはしっくり来ない派。ギルティ、完膚なきまでに叩きのめしてスカッとしたかったと思うものの、これもまたアーティスト未満プロフェッサー以上に成り得なかった主人公の人間らしさ所以。
その後の娘の未来はきっとダメンズっぽい彼氏にDVを受けて不幸な人生を歩んでるに違いない…とほくそ笑みながら願った私の周りを見回してみると、見事な汚部屋。
猛省して洗剤臭プンプンのミニマリストな部屋へと大変身に取り掛かなきゃ、と思わされたのは思わぬ嬉しい誤算。掃除意欲を沸かせてくれるところも本作の魅力。人によりけりかもしれませんけど。

ああ、それと…お節介なキャッチコピーのお陰で先が読めてしまい、騙されなくてなんだか不燃焼。
特にどんでん返し系は、あらすじは必要最低限に留めるが吉でしょーよ。それが許されるのは『シックス・センス』だけ(異論は認めます)。『猿の惑星』みたいなのは論外。

余談。本作に娘が主人公に言った台詞「似てるのはヒジだけ」を聞いて、もしや『ペーパームーン』のオマージュかと思ったりしたけど親子詐欺師物語はやはり『ペーパームーン』が至高であり超える作品はないのだな、と再認識。