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激怒のumのレビュー・感想・評価

激怒(1936年製作の映画)
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ショーウィンドウ、去り行く列車の窓、証拠映像。見ることができるが触れることができないものへの欲望、寂しさ、憎悪、恐怖。シルヴィア・シドニーが見つめることになるのはリンチする側の民衆ではなく、鉄格子によって隔てられている恋人スペンサー・トレイシーで、つまりここでも同様の図式が反復される。怖いのは悍ましい光景に慄くシドニーのクロースアップそのものよりも、その顔が薄ら笑う民衆のクロースアップたちと並列されてしまうこと。スクリーンの前にいれば、何を思おうがただ見る人たちであることからは逃れらないという映画観客のある側面についてのアレゴリーでもある。

https://youtu.be/vkCNBYDovx8?feature=shared
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