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EUREKA ユリイカのシノのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.0
北九州サーガ三部作の二作目だと知らずこれを最初に観ちゃいました。

圧巻の3時間越え、「退屈」と「丁寧」の境目はどこなんだろうか?静かに進んでいくけどダレる感じは個人的には無くじっくり描いてるという印象。
時代設定はわからないけど携帯電話のデカさからみて90年代初頭?故のリテラシーの低さ。おおらかな時代とも言えるけど親がいないまま不登校で兄妹で過ごしてるのが行政ノータッチだったり、そこに一緒に住む他人のおじさんだったり普通に考えたらヤバすぎる。
という色々なヤバさを抱えて尚面白い。派手な何かが立て続けにあるわけではないけど目を離せない。間をたっぷり取って意識の余地を真摯に残す事で感傷がヤバさを凌駕していく感じ。人生は端折れない。

大人でもPTSDになる位の出来事で子供たちの心労はいかほどだろう。同じ傷を持つ者同士身を寄せ合って、というと綺麗な風に聞こえるけど実際は共依存にもなれない、ギリギリで保たれた生活。(故に2年も一緒にいてナオキのサインに気付けずああなってしまったのは心が痛い)

瞬間瞬間で美しいシーンがたくさんあって、セピアカラーから最後だけ色づいていく空撮は震えた。最初いつカラーになったのか気づかなかった。
結局何も変わらないと言えば変わらないまま「帰って」いくんだけど三作目で集約されるんでしょうか。ただユリイカ単体で観たとしてもすごく良い「邦画」だと思いました。
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