TaiRa

EUREKA ユリイカのTaiRaのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
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20世紀最後の日本映画って感じ。役所広司の善悪曖昧な脆さを体現する芝居が上手過ぎる。

色んな国のニューシネマの集合っていう印象。こういう演出エドワード・ヤンとか侯孝賢の映画で観たな、とか後半からヴェンダースっぽくなるなとか。アメリカンニューシネマももちろん。冒頭のバスジャックの描き方、時間の飛ばし方とかスマートで好きだし、利重剛の犯人役が良い味出してた。本当に何者でもない存在感が。事件後の田舎の閉鎖的で嫌な感じも上手いし、実感こもってる。宮崎兄妹の聖性と無垢な残酷さも良い。お墓のとこは『禁じられた遊び』なのかな。ほぼ喋らないで画が持つ。ラストは宮崎あおいに頼り過ぎな気もしたけど。喋らない子供ってのはヴェンダースの『まわり道』のナスターシャ・キンスキー思い出す。尺の長さとか含め『さすらい』とかも近かったな。ワンカットで見せるとこも多いけど、一番感心したのが川上から流れて来るサンダルが草に引っ掛かってカメラ前で止まるとこ。あれ意図的なら地味に大変そう。一応『Helpless』の続編なのに光石研が別キャラで出て来る事を正当化する様に、椎名英姫が二役やってるのが面白かった。この世界ではドッペルゲンガーがそこら辺にいるという。ラスト付近は、もう終わるかと思わせて終わんない展開が続いてダラダラしてる印象。意図した冗長さなのなもしれんが。
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