どらどら

EUREKA ユリイカのどらどらのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
5.0
- 生きろとは言わん。ばってん、死なんでくれ。

「黙っとったら分からん」と沢井は言われた
しかし、それは本当だろうか
絶対に語りえないことを言葉で語ることは可能なのだろうか
「沈黙」でしか語りえない何かがあるのではないだろうか
そして「沈黙」したまま交信することは可能なのではないだろうか

「死」ということの一回性と必然性
目の前で殺人を経験し生き残った彼ら
「生」と「死」の境界はどこまでも曖昧になる

「どうして人を殺してはいけないのか」
という問いに対し映画は
「そんなことは言っとらん」と言い放つ

その問いを超えて映画が放つ問いは
「絶対にやり直しえないことをやり直すことは可能なのか」
死を取り戻すことはできない
それでも「再生」しやり直すことは絶対的に可能である
梢の表情はなによりも雄弁だ
_______________________________
すごい映画だ
ラストの一瞬のために220分がある
青山真治という才能に畏怖し、その喪失を悔やむしかない
下手したら朝ドラの一回分よりもセリフ量は少ないのではないかと思うレベルだ
画面を埋めるのは宮崎兄妹の沈黙と役所広司の咳、そして斎藤陽一郎の上滑りする言葉
彼らは語りえないことがわかっているから語らない
語らないことの意味をわかっているから絶対に黙っていたらわからないなどとは言わない

光石研がまたすごくいいんだよなぁ

宮崎あおいの沈黙で引っ張る力凄すぎる。当時はまだ何者でもなかったはずの一少女が220分沈黙で画面を背負えるってとんでもないことだと思う。その沈黙は、雄弁な沈黙なのだ。
役所広司はしかしほんとに体調悪いのではないかというレベルの存在感だが、生きているので多分この時も別に体調悪くなかったんだよな、、すごすぎる、、

そしてバスジャック犯のキャラクター造形の空虚さがまたすごい
絶望の底にある希望
どらどら

どらどら