ゆみモン

EUREKA ユリイカのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

長い映画である。(217分)
そして静かな映画である。

ユリイカ (EUREKA) は、ギリシャ語で「発見」の意。キャッチフレーズは「癒しと再生の一大叙事詩」。

九州の地方都市でバスジャック事件が発生し、多くの乗客が殺害された。生き残ったのは運転手の沢井(役所広司)と、中学生の直樹(宮崎将=あおいの実兄)と小学生の梢(宮崎あおい)の兄妹だけで、3人は心に深い傷を負う。
2年後、家族を置いて消息を絶っていた沢井が町に戻ってくる。時を同じくして周辺で連続殺人事件が発生し、沢井に疑いの目が向けられる。そんな中、兄妹が2人だけで暮らしていることを知った沢井は、彼らの自宅を訪ね一緒に暮らし始める。さらに兄妹の従兄・秋彦も加わり、4人は沢井の運転するバスで旅に出る……。
連続通り魔は、心を病んだ直樹の犯行だった。直樹に付き添って警察に自首させる沢井。残された梢の心を思いやり、沢井はバスで海や広大な景色を見せてから、家路へと向かう。

セピア色のようなモノクローム映像が美しい。
事件後、言葉を発しなくなった兄妹を演じた二人は、さぞ難しかっただろう。しかし、その表情や佇まいで心情をよく表現していたと思う。

現実的に考えればツッコミどころは多々ある。
事件後、直樹と梢の母が家を出て、父が事故死したが、父の生命保険金を受け取った兄妹二人を、親戚がいるのにそのまま二人だけで暮らさせるのはおかしい。沢井が直樹を自首させたが、沢井や兄も事情聴取されるはずなのに何もないのはあり得ない。…等など。
しかし、敢えてそれらをスッパリ切り落として言い訳もしないような描き方を潔く感じた。

最後の梢の声の綺麗さに救われた気がするラストシーンだ。

2022年3月に他界した青山真治監督を偲んで…。