8Niagara8

EUREKA ユリイカの8Niagara8のレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.9
凄すぎた。
映像的に図抜けていて、あらゆるショットがかっこいい。決まりに決まった構図、カメラワークが美しく、どれも印象に残る強烈なエネルギーを持つ。
閉鎖的なバスや部屋から解き放たれるように開ける画面が救済的。
モノクロの映像は当然発色に欠けるが兄妹に寄り添うような静謐さがありながら、豊かな精神世界を形成する。ジメジメとしつつも、極めて煌びやかでもある。

沢井と刑事の夜のシーンが良すぎる。
人に眼差しを向けること全てを体現するかのような、沢井にカメラを向けるシーン。
言語性の消失は必ずしも感情の消失とは結びつかない。ノンバーバルコミュニケーションによる内面の発露。
映像からどこか漂う圧迫感のようなものはどうもミレニアム前後ならではのもののようにも。
全編にわたり死が際どく危うく接近し、ようやくしてその死から解放される。しかし、これは生の物語。生き死にの是非とかではない。ただ生きること。
8Niagara8

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