ジミーT

惑星大戦争のジミーTのレビュー・感想・評価

惑星大戦争(1977年製作の映画)
5.0
この映画の公開時、ある著名な映画評論家が「ワクセイダイセンソウ、口にするのもいやだ」みたいなコメントをしていました。「口にするのもけがらわしい」だったか、要はそんな、それだけのコメントです。こんな言い方ってあるか。
ヒドい映画だと思うならしっかり酷評してほしいし、たとえ一言コメントでも「寸鉄人を刺す」ようなコメントはできなかったのか。名の通った評論家がこんな言い方はないだろう。まあ、そんな怒りを覚えた記憶があります。

確かにあまり褒められた出来ではないのかもしれませんが、東宝防衛軍の無敵艦・轟天号を宇宙に飛ばしたり、リボルバー何とかといってまるで回転式拳銃の弾倉みたいな発射台から小型宇宙船だかミサイルが発進したり、敵が海賊船みたいな大魔艦(このネーミングも素敵)だったり、その大魔艦との西部劇か時代劇もどきの一騎討ちだったり、拙速製作だったにしてもそれなりのアイディアと東宝特撮センスは光っていました。
ちなみに私は、この映画はいわゆる「昔ながらの」東宝特撮SFの最後の作品だったと思っています。これ以降、福田純監督の名前は見なくなり、80年以降「地震列島」「さよならジュピター」「ゴジラ」(84年)とSF作品は続きますがこれまでとは感触の違うものになってゆきます。「惑星大戦争」はそんな時代の転換点にあった、意外にも重要な作品だったのだと位置付けております。その重要性と、拙速企画ながら手間のかかる特撮映画をとにもかくにも完成させたその行動力にスコア5.0を捧げます。

追伸
ご既承の如く「宇宙からのメッセージ」と共に「スター・ウォーズ」便乗企画の双璧でしたね。ただ、SF映画という同じ土俵の上で東宝の「惑星大戦争」と東映の「宇宙からのメッセージ」を見比べると、当時の両社の気質の違いがあからさまに感じられて面白いです。東宝は育ちが良くてスマートで「明るく楽しい東宝映画」。東映は泥臭くて暑苦しい「不良性感度」。もちろん、どちらも魅力があります。
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