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影武者のarchのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
3.0
遥かなスケールの初の実在した人物を描いた戦国時代劇であり、海外プロデューサーにコッポラやルーカスを迎えた海外資本の混じる黒澤作品。パルム・ドールに受賞し、その他多くの海外から評価を受けた本作だが正直合わなかった部分も多い。

まず良かった点としてはそのスケール感だろう。一体何人のキャストやエキストラを用意したのか、そしてそれら全てに甲冑や装いを用意したその予算と迫力、言うまでなくこれまでの中で一番のスケールも持っていることは間違いない。
そして影武者という題材、いわゆる「入れ替わりモノ」をここまで真摯に描いたものもないでしょう。そういった類を描くなら自分のアイデンティティが失われる、そして必要とされなくなった時何も残らないその虚無感まで描くべきなのです。
そういった題材への真摯さはさすがのドラマツルギーだなと思いましたね。

しかしやはり退屈な話が続く。ほとんど話が膨らまないし、三時間はさすがに長すぎる。そして最後の合戦が良くない。そのスケール感は見事だが、肝心な部分を見せない点は凄く本作を滑稽にしている。後編集もかなり酷い。
そういった短所の方が強く印象に残ってしまいあまり楽しめなかった作品でした。
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