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影武者のarinのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
5.0
舞台は戦国時代。
主人公は武田信玄亡き後、幼い世継ぎが成長する三年後まで信玄の影武者を務めることになった男。
男は下賤の出で、盗みを働いて逃げようとする不逞の輩だが、信玄にこれ以上ないほどの生き写し(名優・仲代達矢がみごとに二役を演じ分けている)で、彼以上に影武者にふさわしいものはいない。
武田と対立する織田信長や徳川家康は間者を送り武田の死の真相を見極めようとしてくる。果たして彼らに気づかれてしまうのか?
驚異は敵方だけではない。味方にさとられずに影武者をやり抜くことができるのか?
また、ただの男が、猖獗極まる戦場で偉大な戦国武将を演じきれるのか? 

映画が描くのは人間のプライドである。惨めな自分でいるよりも、立派な人間でありたい。泥棒でいるよりは武将でありたい。そんな普遍的な人間のプライドを描く本作は、公開から数十年の時を経てもなお色褪せない。
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