影武者のかぼすのレビュー・感想・評価

乱と比べると「神の視点」で描いてない故に壮大さでは及ばないという感想を持ちはしたものの、影武者であることがいつ露呈するかのサスペンス感もあり別の面白さを感じた。
影武者を演じているうちに武田信玄が憑依したかのような言動を見せたり、ストレス溜め込んで悪夢を見たりと虚実の倒錯を重ねるごとに緊張が高まる。その緊張の糸が切れると同時に長篠の戦いへ突入。戦という大規模の暴力で今までの全てを薙ぎ払い最後に惨めな男の亡骸を映す。ちょっと違うような気もするけど「国破れて山河あり」という一節が浮かんだ。