喜連川風連

影武者の喜連川風連のレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
3.0
賛否両論のこと、風の如く
兵士が走ること、林の如く
画面が赤きこと、火の如く、
カットが切り替わらざること山の如し。

武田信玄の影武者を主人公に据えた本作。

坂道や丘の使い方。大勢の人が画面いっぱいにグワッと動くのは黒澤映画時代劇の特徴だが、気持ちのいい描写はほとんど出てこない。(意図的に避けられている)

合戦の見せ場では、斬り合うシーンはほとんど出てこず、冗長な行進のシーンが相次ぐ。

カメラは徹底して客観を貫き、影に徹している。

悲しい場面で、雨が降り、武田の落日を表現する場面では夕陽を映す。

武田側が没落していく場面では、笛の甲高い音色が、織田信長登場のシーンでは、重苦しいティンパニーが響く。
効果音によって、人物の内面を表現し、想像させる。

せっかちな性格なので、長ったらしく感じた部分もあったが、人によれば大ハマりする映画なのかもしれない。

ジョージルーカスは「フィムルをもっと切れ!」と言っていたらしい。
自分も編集が不十分なように思う。

これを戦国時代の知識のない外国人が見たら、果たして面白いのだろうか?
(カンヌパルムドール受賞)
喜連川風連

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