刑務所から脱獄してまで自由を欲しがっていたはずなのに、裏切り者という汚名をそそぐため奮闘するリノ・ヴァンチュラの崇高な精神に痺れる。そしてメルヴィル監督特有の何が起こるかわからない張りつめた緊張感と説明しない語り口が物語がどう転ぶか読ませず最後までハラハラした状態で見てしまう。ただあまりにも説明しなさすぎて主人公のリノに協力する女性がどういう人物か皆目わからず、愛人か恋人かなと思っていたら中盤で妹だと知ったとき衝撃を受けたけどね。
冒頭の脱獄シーンのスリリングさが半端ない、足を踏み外せばすぐ落下する高所の不安定な足場でのやり取りは冗談ではなく心臓が止まりそうに思えた。
ただ話が終わりどころがわからない分滅茶苦茶長く感じたけどね、終盤は緊張感と疲労感がない交ぜになってくたくたになってしまった。