シレーニ

リトル・マーメイドのシレーニのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・マーメイド(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

物語 10点
配役 10点
演出 10点
映像 10点
音楽 10点
---合計50点(満点)---

アリエルの陸の世界への憧れと、彼女を取り巻く様々な愛と絆を描く、ディズニーらしいミュージカルファンタジー。アリエルの「歌声が美しい」という設定に作風が合致して、楽しい場面もハラハラする場面も音楽の盛り上げ方が素晴らしい。さすがアカデミー作曲賞&歌曲賞。また、繊細な映像描写が秀逸で、特に水の中にいる人魚の体が本当に揺らめいていて目を見張った。原語版の配役もよく合っているが、原語版への敬意を感じられる日本語版の配役もとても良い。

美貌と美声で誰をも虜にする一方、天真爛漫かつ大胆不敵で、時にトラブルを起こしつつ常に周囲を明るく照らす魅力溢れる人魚の王女アリエル。アリエルと冒険を共にする最大の理解者かつ相棒で、彼女の為なら国王にも意見する友達思いのフランダー。アリエルに苦言を呈しつつ、最初は罪悪感からの行動とはいえ最終的に完全にアリエルの味方になる情に脆いセバスチャン。人間の世界の知識は間違いだらけなもののいざというときとても頼りになるスカットル。誰もが認める端正な顔立ちで、勇敢で優しく、運命の出逢いに憧れるロマンチストな面も併せ持つ完璧イケメン王子エリック。海を統べる偉大なる王でありながら年頃の娘を持つ親として悩みが絶えず、アリエルとすれ違ってしまうトリトン。そして、真っ直ぐに悪役だが実は部下思いのアースラ。登場人物全てが皆、愛すべきキャラクターだ。
彼等が紡ぐ物語のテーマはずばり「愛」と「絆」だと思う。トリトン王との親子愛、フランダーとの友愛、そしてエリックとの恋物語と、全編を通して様々な形の愛に彩られ、かつ、種族を超えた海の仲間達の絆が描かれている。その愛と絆の力で、真実の愛を信じないアースラの野望を打ち砕く。全てが詰まったラストシーンは名作の名に相応しい美しさ。

落ち込んだ時や元気が無い時に本作を見ればきっと、明るく前向きな気持ちになれて、新たな一歩を踏み出す勇気を貰えるだろう。


※2023年6月5日に吹替版を鑑賞。同年6月8日に原語版(日本語字幕版)を鑑賞。
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