みおこし

奇蹟の処女のみおこしのレビュー・感想・評価

奇蹟の処女(1931年製作の映画)
3.4
当時24歳のバーバラ・スタンウィック主演の宗教映画。監督はまだ『或る夜の出来事』でオスカー受賞&ブレイクする前のフランク・キャプラ。

牧師の娘フローレンスは、長年教会の為に献身した父親を退職に追い込み死なせた教会関係者に憤り説教の中で激昂。その様子を見ていた詐欺師のホーンスピーは、熱のこもった彼女の説教が商売に利用できると考え、ラジオや巨大な会場で登壇させるようになる。いつしかホーンスピーが利益のためなら殺人をも犯し、さらには宗教を通して人々をいかさま説教で騙していることに気づき、不安を覚えるフローレンスの前に、盲目の音楽家ジョンが現れる…。

いかにも当時のアメリカらしい宗教映画でした。「信じれば救われる」と言葉巧みに信者たちを洗脳し、祈ることでライオンの檻に入っても襲われないとか、生まれたときから患っていた身体障害が治った…などとインチキを繰り返し、大金をだまし取るホーンスピーに対し、盲目になった絶望から自殺をしようとしていたもののフローレンスの説教で信仰心に目覚めた心の美しい青年ジョンという、かなり極端な対比構造。「こんな極悪人いる?」と同じくらい、「こんな心のきれいな人いる?」と思ってしまったので、リアリティには欠ける物語でした。
実は当時エミー・センプル・マクファーソンという女性宣教師が実際にいて、彼女の話がきっかけとなって出来上がった戯曲の映画化らしいです。(結局彼女は嘘の発覚がきっかけで失脚してしまい、最期はオーバードーズで亡くなったそう。)
いつの世も人々の信仰心を利用して悪いことを考える人たちはたくさんいて、カルト宗教の危険性や宗教の間違った在り方に警鐘を鳴らす試みはこの時代からあったのですね...。
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