春21号

愛情物語の春21号のレビュー・感想・評価

愛情物語(1984年製作の映画)
4.0
これは!

何という怪作
原田知世への偏愛と時をかける少女への嫉妬と商売人としての性が生み出した傑作

角川春樹にしかこんな映画撮れませんよ
角川春樹は時をかける少女を観てこうおもったと思うんです。
大林くんちょっとこれ出来過ぎ!っと
だからきっとチグハグな本作が生まれたのです。

まず、本作最初っからおかしい
いきなりどんな内容かも全くわからないミュージカルのクライマックスシーンから始まって一体何事か?と思っていたら原田知世がそのミュージカルを目指す!って
で、スポコンものみたいな感じになるのかな?と思ったらそのまま本当の親を探す旅に出ると…
ミュージカルを目指す事と親を探す事これ全く繋がってないっすよね…
でもこの"カーテンコール"というミュージカルと親を探す日本の田舎旅は紐解けば時をかける少女にあった要素の拡大版なんですよね
映し出される絵も地名をバンバン言いながら匿名性の高い狭い画角の切り取り方ばかりで全てが尾道の景色みたいだし、ダンスシーンも時をかける少女のエンディングまさにカーテンコールの豪華版何ですよね
話自体はこの二つの要素が絶え間なく喧嘩してるんだけどそのどちらもがよく出来てて、例えば絵作りなんかはほんと病的なまでに凝りに凝ってて観ててほんとに飽きないしダンスもめちゃくちゃ本格的であまり体型的に恵まれてない原田知世からとんでもない迫力を感じることができるのです。
だから結果的に見ていて飽きることが全く無い
めちゃくちゃなんですよほんと話の筋なんてあったもんじゃないし途中でいきなりホラーに転調したりするし両親のくだりも何だそんな話かってなもんでがっかりさせられるし

でもこの古風な原田知世と今風のTOMOYOを思う存分見せてやろうとして二つの世界をぶつかり稽古させた力技は謎の魅力を放ってるんですよ
渡瀬恒彦が採掘してる横で原田知世が本気のダンス踊ってるんですよ?最高でしょ

てな訳で時をかける少女が大好きな僕も本作を認め無いわけにはいかないのです。
これはまさに時をかける少女が産んでしまったこれ以上ないほどの怪作なのですから
春21号

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